QE(量的緩和)

前回記事にも書きましたが、レイダリオ氏が言っていた今後予想される金融緩和について、ニューヨーク連銀ウィリアム総裁の発言ポイントを以下の通りまとめてみました。

✅ 主な発言内容

  1. 銀行準備預金(リザーブ残高)が「やや豊富(somewhat above ample)」の水準に低下してきており、流動性環境の変化を示す明確なシグナルが出始めている。
  2. この流動性低下を受けて、現在のバランスシート縮小(量的引き締め、QT)を停止し、近い将来「資産購入(量的緩和的な動き)」を始める準備があると示唆。
  3. ただし、これは景気刺激目的の従来型の量的緩和(QE)ではなく、「金融市場の機能を支えるため」の流動性維持目的の資産購入である点を強調。
  4. また、バランスシート縮小・拡大のフェーズが「過剰(abundant)→やや豊富(somewhat above ample)→十分(ample)」というレンジをたどるというフレームワークを提示。いつ“十分”かを判断するのは「正確な科学ではない(inexact science)」とも述べています。
  5. 長期債等の保有期間(デュレーション)が現在かなり長いため、「保有期間を短め(ショート)にする検討」も視野に入れていると語っています。

📍 まとめ

  • 銀行準備金が低下 → 市場の流動性がタイト化しつつある → FRBがQT停止または資産購入(流動性維持)へ転換する可能性が近づいている。
  • ただし「緩和=金利大幅引き下げ」ではなく、「市場機能維持」のための“技術的な”資産買入であるという点に注意。
  • この動きが現実化すると、長短金利の動き、資金コスト、リスク資産の需給あたりに影響が出やすい。
  • タイミングが重要:準備金が「十分(ample)」と判断されるかどうかが行動の分かれ目。

気になるのは、流動性維持後ですが、

観点メリットデメリット
市場安定性流動性確保でレポ市場・国債市場が安定短期的に過剰リスクを誘発
インフレ資金繰り改善で経済の減速を防ぐ物価・賃金インフレ再燃の火種
政策信頼性技術的措置として透明性を維持すれば◎シグナル誤解で政策混乱リスク
投資面金利上昇抑制で株・債券にプラス過熱相場からの反動に注意

このタイプの「流動性緩和」は、“血流を戻す輸血”のようなものです。
景気を加速させる「ドーピング(QE)」ではなく、市場が貧血を起こさないよう支える動き
したがって、短期的にはリスク資産にプラスですが、中期的にはインフレ・バブル再燃リスクを見て、慎重姿勢が賢明です。

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