前回続き(ドル価値低下戦略)

ドル安(米ドル価値低下)を見込む場合、基本はドル建て資産から通貨分散・実物価値連動資産へのシフトが有効です。以下、リスク別・投資形態別に整理します。

1. 通貨分散型資産

狙い:ドル安時に他通貨が相対的に上昇し、為替益を享受。

  • 先進国通貨建て債券・株式
    • ユーロ建て(ドイツ国債、欧州優良株)
    • 豪ドル建て(豪国債、資源関連株)
    • スイスフラン建て(低インフレ通貨+安全資産)
  • 新興国通貨建て資産(選別)
    • メキシコペソ、ブラジルレアルなど、高金利・資源国通貨。
    • ただし金利差と政治リスク管理は必須。

2. 実物資産・インフレ耐性資産

狙い:通貨価値が下がっても実物の価値は維持または上昇しやすい。

  • 金(Gold)
    • ドル安で価格が上昇しやすく、地政学リスクにも強い。
    • ETF(GLD, IAU)や現物(金地金)で保有可。
  • 銀・プラチナ
    • 産業需要+貴金属特性で金と異なる値動き。
  • 原油・天然ガス・農産物ETF
    • ドル建てで取引されるため、ドル安時に価格上昇圧力。

3. 株式(ドル安恩恵型セクター)

狙い:海外売上比率が高い企業は、ドル安で海外収益の換算額が増える。

  • 米国株内で選別
    • 多国籍企業(アップル、マイクロソフト、コカ・コーラ等)
    • 資源・エネルギー・農業関連(エクソンモービル、カーギル系上場企業)
  • 米国外株
    • 欧州・アジアの大型株(為替ヘッジなしで保有)

4. 債券・オルタナティブ

  • 外貨建てソブリン債(円ヘッジなし/分散)
  • インフレ連動債(TIPSや他国のILB)
    • ドル安はしばしばインフレ圧力とセットで来るため、有効。
  • 不動産(REIT)
    • 米国外REITやグローバルREITファンドで通貨分散。

5. 実務的ポートフォリオ調整例(参考)

(総資産100に対し、ドル資産50%前後の場合)

  • ドル資産 30–35%(米国株・債券・現金)
  • 他通貨資産 25–30%(欧州・豪州・新興国)
  • 実物資産 15–20%(金・コモディティETF)
  • その他(REIT・オルタ)15–20%

以上、ご参考までに。

先日PPIが発表されましたが、2025年7月(月次変動):PPIは +0.9%, 予想の+0.2%を大きく上回る上昇。2025年7月(前年比):+3.3%で、ここ数ヶ月で最も高い伸びとなりました。PPIの急激な上昇によりインフレリスクが再燃し、FRBの政策見通しやマーケット心理に大きく影響しています。

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