中東情勢の緊張が続く中、原油価格は一時119ドルまで上昇した。
同時に発表された米雇用統計は予想外の弱さを示し、本来であればFRBの利下げを後押しする材料となるはずだった。しかしエネルギー価格の急騰が重なったことで、市場は「景気減速」と「インフレ再燃」という難しい局面に直面している。
さらにG7では、IEAと連携した戦略石油備蓄の放出が検討され、日本政府も国内備蓄の放出を支持する姿勢を示している。
来週にはFOMCを控える中、株式市場は今、エネルギーショックが一時的なものなのか、それともオイルショック級の危機に発展するのか、その分岐点に立っている。
ここまでの経過
今回の状況を時系列で整理すると次のようになる。
- 中東情勢の緊張が高まる
- ホルムズ海峡のリスクが意識される
- 原油価格が急騰(119ドル)
- 米雇用統計が弱い結果
- G7が石油備蓄放出を検討
- 来週FOMCを控える
つまり現在の市場は、景気減速 × エネルギーショックという非常に珍しい組み合わせになっている。
本来なら利下げ局面
通常の経済サイクルでは
雇用悪化
↓
景気減速
↓
FRB利下げ
となる。
これは株式市場にはプラス材料である。しかし今回は原油価格の急騰が同時に起きている。
エネルギー価格の上昇は
- ガソリン価格
- 物流コスト
- 食料価格
を押し上げるため
インフレ再燃の原因になる。
つまりFRBは
- 景気悪化
- インフレリスク
という最も難しい局面に直面している。
原油119ドルの意味
原油市場にはいくつかの重要な節目がある。
| 原油価格 | 市場の意味 |
|---|---|
| 80ドル | 通常 |
| 100ドル | 高値圏 |
| 120ドル | 危機ライン |
| 150ドル | オイルショック級 |
現在の119ドルは危機ライン直前と言える。ただし重要なのはこの価格が維持されるかである。
一時的なスパイクであれば市場は吸収するが、数週間続けばインフレ圧力が強まり、金融政策にも影響を与える。
市場が本当に見ている指標
ニュースでは原油や戦争が注目されるが、プロの投資家が最も重視しているのは、クレジット市場である。特にハイイールド債スプレッドだ。
現在約3.0%
これは
| スプレッド | 状態 |
|---|---|
| 3〜4% | 正常 |
| 5〜6% | リスク上昇 |
| 8%以上 | 危機 |
つまり現時点では信用市場はまだ正常である。もし金融危機が近づくなら、この指標が先に悪化する。TACO織り込み済み。
VIX(恐怖指数)
もう一つの重要指標がVIX(恐怖指数)、現在は約29これはかなり高い水準だが
- リーマンショック:80
- コロナショック:85
と比較するとまだパニックではない。
想定シナリオ
現在の状況から考えられる株式市場のシナリオは4つある。
① ソフトランディング
中東情勢が緩和
原油110ドル前後
S&P500
−10%程度の調整
② 軽いスタグフレーション(最も現実的)
原油120〜130ドル
利下げ遅れ
景気減速
S&P500
−20〜30%
③ エネルギー危機
ホルムズ問題長期化
原油140〜160ドル
S&P500
−30〜40%
④ オイルショック級
条件
- 原油150〜200ドル
- LNG供給障害
- 数ヶ月の供給ショック
S&P500
−40〜50%
1973年のオイルショックに近い状況となる。
日本への影響
日本は
- 原油の約90%を中東に依存
- 世界最大級のLNG輸入国(備蓄少ないため、実はこっちの方が影響ある)
そのためエネルギー価格の上昇は
- 電気料金
- ガソリン
- 食料
に影響しやすい。
さらに円安が重なると輸入インフレになる可能性がある。
現時点の結論
現状の市場は
- 原油 → 危険ライン接近
- VIX → 警戒水準
- クレジット市場 → 正常
つまりまだ金融危機ではない。しかし原油が130〜150ドルに上昇すると状況は大きく変わる可能性がある。
株式市場は、現在一時的ショックなのか本格的エネルギー危機なのか
その分岐点に立っている。
